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歯科診療について
歯科診療に対する私の試み
小動物の獣医師にとって、歯科領域はいろいろな意味で困難な分野です。6年間の大学教育でもほんの数時間しか費やされることはなく、実際の診療ではほとんどの処置が麻酔下でしかできないという制限があるからです。
私自身、歯科を勉強するきっかけとなったのは息子の歯学部入学でした。歯科学について6年間も勉強することがあるのだろうかと思っていましたが、現在の歯科学は日進月歩で、特に歯科理工とよばれる歯科に使う材料学の進歩は素晴らしいものがあります。ペットの口腔内の多くの問題をできるだけ短時間で同時に解決することができるようになってきたのは、歯科理工学の進歩によるところが大きいと思います。
人間の歯科で何ができて獣医歯科では何ができないか、何を応用できるのかを見極めなくてはなりません。昨年歯科医師国家試験に必要な教科をすべて学習し終わりました。出来る限り人間の歯科領域の治療に近づくよう努力したいと思います。
噛まれて大怪我をする前に
ここ数年ご家族の中でおばあちゃんやお子さんが飼い犬に噛まれて深夜に救急に運ばれるという出来事が数回ありました。私達が手を払いのけるような気持ちと同じ感覚で犬は口を使います。しかし、犬歯は鋭いため予想外に大きな怪我になることも少なくないのです。しつけをしてもなお、噛みつくワンちゃんには歯を丸くする処置を行っています。
歯を短くし歯髄を保護する薬を塗布し、レジンでかわいい丸い歯に仕上げます。
犬歯を削りレジンで丸い歯を作ります。
犬歯を削るということ
これについては賛否両論の意見があることでしょう。しかし、人間側が愛情をもってその犬を飼えなくなってしまった場合、ほとんどが手放すことになってしまいます。犬にとって最も不幸なのは飼い主が飼育を拒否することです。噛まれても大きな怪我さえしなければ根気よくしつけをしてくれるかもしれない。そう考えてこの処置をしています。
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