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眼科診療について

眼科診療について

 

 私が眼科を特に力をいれて勉強した理由はお話しましたね。

 さて、獣医師で眼科を勉強している先生はほとんどの方が白内障の手術ができることを目標にします。私も、最初そうでした。しかし、私の師である、Dr.Paulsenは、「何故日本人は白内障の手術ばかりしたがるのか」と不思議がっていました。多くの場合、白内障は加齢による生理的な変化です。新聞を呼んだり、スマホでメールを送ったりしないペットたちは生活の質さえ落ちることがなければ、穏やかな加齢変化は受け入れるべきだということです。私自身、眼科に受診した折、年齢相応の老眼で、年齢相応のドライアイであると告げられました。おそらくこの先、白内障もおこってくることでしょう。老いを考えられなかった時と違い今は自分自身のことを犬や猫たちに投影しながら診療ができるようになったのはある意味よかったのではないかと思っています。

 

 高価な白内障の器械を購入したわたしにDr.Paulsenが教えてくれたのは、大切なのは白内障の手術ができることではなく、眼の周囲の疾患を見落とさないこと、内科疾患で波及する眼疾患を見落とさないこと、適切な投薬で進行や治癒の見込める眼疾患にすばやく対処すること、この3つです。いつもこのことは忘れることがないようにしています。

 

 眼の周りに注意しましょう

 

 

眼の疾患には眼そのものに原因がある場合と眼の周囲に原因がある場合があります。犬や猫は人間と違って眼の周りに毛が生えています。その毛が原因になって眼の疾患を引き起こすことも少なくありません。上の写真はパグちゃんのシワの毛が眼の内側をこすることによっておこった色素沈着です。シワを切除することによって解決しました。左は眼の内側に毛が生えていて角膜に傷がついた症例です。右は角膜の小さな傷をこすっているうちに大きくなった例です。

 

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